日本語要約(Medical Imaging Technology of 2002).




1月号(Vol.20, No.1)

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可変形状モデルを用いた医用画像のセグメンテーション手法の概説 清水 昭伸 3-12
Key words : Deformable model, Snakes, Segmentation, Contour extraction, Medical image processing
Abstract : 本稿では,可変形状モデルを用いた医用画像のセグメンテーション手法について概説する.この手法は, 対象物に関する事前知識と画像上の濃度特徴を同時に利用し,ノイズの多い画像に対しても優れた性能を示す手法として注目されている.本文ではまず,モデル形状の表現方法と変形方法の2点に着目してこれまでに提案された手法を解説する.次に,形状知識の利用,トポロジー可変性,インタラクティブな変形操作,高次元への拡張性などの観点から各手法を比較する.

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距離変換を用いた図形の構造解析手法 平野 靖・鳥脇 純一郎 13-22
Key words : Distance transformation, Thinning, Skeletonization
Abstract : 本稿では,2次元,および3次元図形構造を記述する基礎的な手法を解説する.これらの手法は計算機を用いて図形の形状特徴を解析したり,入力画像から特徴的な成分図形を抽出したりする際の基盤技術となる.一見複雑な画像処理手順も,これらの手法を組み合わせて構成されていることが多い.そのため,これらの手法の特性を知らなければ,特徴を得る手順や成分図形を抽出する手順を組み立てることができない.そこで,本稿では2値,および背景付き濃淡画像を対象とした2次元,および3次元空間での図形の構造解析法,とくに距離変換,距離変換に基づく細線化/薄面化,およびスケルトン変換などの解説を行うとともに,実際の適用例を示す.

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Image Registration Methods in Computer-Aided Diagnosis Hiroyuki YOSHIDA 23-28
Key words : Image registration, Image segmentation, Computer-aided diagnosis
Abstract : Image registration has a wide utility in medical image analysis. Application to computer-aided diagnosis ranges from increasing the conspicuity of interval changes in temporal series of images to superimposing features obtained from images acquired by different modalities. This paper presents a brief overview of major registration methods based on the type of transformations and similarity measures in the registration process. A recently developed registration method that yields simultaneous segmentation and registration is described with an application to the extraction of abnormal structures that are overlapped by normal anatomic structures in chest radiographs.

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ROC解析とCADシステムの評価 桂川 茂彦 29-35
Key words : ROC analysis, Observer performance study, Computer-aided diagnosis
Abstract : CADシステムの画像診断に対する有効性を示すためには,医師がCADシステムを利用したときの画像診断の正確さが,システムを使用しないときよりも改善されていることを示さなければならない.また,アルゴリズムの改良に伴う影響や,他施設のCADシステムを比較する必要に迫られる場合もある.このようなCADシステムの評価を行うためには,ROC解析は非常に有力な方法である.本稿では,ROC解析の基礎原理を概説し,ROC解析をCADシステムの評価に応用する場合の注意点について解説する.さらに,陰 影の検出位置に関しても分析可能なLROC解析とFROC解析についても簡単に述べる.

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独立成分分析と医用画像処理 村木 茂 36-45
Key words : Independent component analysis, fMRI, Multi-channel MRI
Abstract : 独立成分分析(ICA)は複数の無作為に混合された信号から源信号を分離する一見魔法のような技術だが,データの統計的独立性というきわめて単純な指標に基づいて数学的に実現される.本稿では独立性の評価法や,ICAアルゴリズムのいくつかを平易に紹介するとともに,ICAの医用画像処理への応用例として筆者が行った機能MRIデータの解析と多チャンネルMRI画像処理の研究を紹介する.

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双極子分布を用いた脳内活動状態推定法の検討 水野 亮二・椎名 毅・斎藤 陽一 46-58
Key words : AEP, electric current dipole, dipole distribution model, SVD, generalized matrix
Abstract : 脳回に沿った電流双極子分布は,大脳皮質領域における誘発脳波の総括的な活動状況が把握でき,機能マッピングやその解析にも応用が期待できる.しかし,等価電流双極子法の多くは,脳内神経活動源を単一電流双極子と等価であるとしてその位置を追跡・評価するため,実際の神経活動源が大脳表面に広がって複数存在している場合,単一電流双極子で解析を行うと真の電源分布の中心位置よりも深い位置に推定されてしまうなどの間題がある.そこで本論文では,大脳皮質を構成する神経細胞のうち錐体細胞がもっとも出力が高いという解剖学的知見から,大脳皮質に相当する球殻領域に分布する複数双極子で近似することを試みた.本システムの推定原理は,等価電流双極子法を基本に用い,特異値分解による電流双極子モーメント強度の推定精度の向上を狙う.また,仮想電極を用いることでさらに推定精度が向上することを示す.最後にodd-bal1課題を被験者に与えた際の聴覚誘発脳波の解析例を示し,本提案モデルの有効性を述べる.

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PCクラスタを使用したDSAレジストレーションの並列化の検討 舩上 頼光・廣嶋 恭一・西野 順二・小高 知宏・小倉 久和・福島 哲弥・西本 康宏・田中 雅人・伊藤 晴海・山本 和高 59-68
Key words : Digital subtraction angiography (DSA), Registration, Motion artifact, Parallel processing, Cluster system
Abstract : 本研究では,複数のPCをイーサネットで接続したクラスタシステムを構築し,DSAに対するレジストレーション処理の高速化について検討した.回転DSAなど非常に多くの差分像が必要とされるシステムでは,レジストレーション処理の高速化が不可欠である.われわれは,これまでレジストレーションの自動化およびその改善の研究を行い,局所領域における歪ベクトルを利用する局所的運動補正法を提案してきた.この手法では,各注目画素における歪ベクトルの検出処理,各移動量の相関値検出,そして相関値の計算において並列化が可版あり,実際にPCクラスタ上で動作するよう実装した.並列化したレジストレーション手法をX 線画像に対して適用した実験結果から,PCクラスタを使用した並列レジストレーションシステムが有効であり,非常に高速なレジストレーション処理が期待できることを示す.






3月号(Vol.20, No.2)

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医療における色彩工学―総論― 三宅 洋一 87-93
Key words : Color reproduction, Spectral imaging, Skin and membrane color, Color adaptation
Abstract : 色は,皮膚や粘膜疾患の診断を行う上で重要な情報を与える.しかしながら,色に対する知覚は物体の分光反射率ばかりでなく照明光の分光放射率,照度により大きく変動する.また,CCDカメラ,カラーフィルム,プリンター,各種表示モニターにより得られるカラー画像においてもその色再現特性は,撮影,観測環境,イメージングデバイスの分光特性などに依存する.それゆえ,色を用いる診断は定性的であり長年その定量化が臨まれてきた.本文では,医療における色情報の扱いと筆者らが行っている最近の研究について紹介する.

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メディカルビジョン 津村 徳道 94-104
Key words : Multi-spectral image, Oxygen saturation, Photometric stereo, Image based modeling and rendering, BRDF
Abstract : 多様な情報ネットワークから必要な情報をいつでもどこでも簡単に取り出せるユビキタス情報化社会が到来すると考えられている.日本では,高齢化社会が大きな社会問題となっており,ユビキタス情報化により,医療情報の提供や高齢者の健康情報管理が充実し,高齢者やその家族が安心して豊かに生活する社会を構築することが期待されている.しかし,情報通信技術のみだけで,高齢化社会におけるユビキタス情報化が行われるわけではなく,高齢者から健康情報を取得するセンシング技術の開発が必要である.本報告では,肌の色のモニタリングを目的として,ディジタルカメラなどを用いて撮影した肌の分光画像に対して,逆光散乱解析を行うことにより,肌におけるメラニン,酸化ヘモグロビン,脱酸化ヘモグロビンの色素分布を推定する手法を紹介する.このとき,コンピュータビジョン技術の1つである照度差ステレオ法を用いることにより,照明ムラやシェーディングの影響を除去した絶対的な反射率を広範囲に計測した.また,得られた形状情報,色情報,色素情報を,コンピュータグラフィックス技術を用いて多角的に可視化した.

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ナチュラルビジョンの医療応用 山口 雅浩 105-110
Key words : Multispectral images, Natural color reproduction, Computer aided diagnosis
Abstract : 現在,忠実な色再現性を有する高リアリティ映像再現システムを実現することを目的として,ナチュラ ルビジョンの研究開発が進められている.本稿では,ナチュラルビジョンの技術の医療分野への応用として,遠隔医療における色再現システムと,スペクトル情報を用いた診断支援システムなどについて解説する.

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Practical Methods of Color Quality Assurance for Telemedicine Systems Kevin M. MCNEILL, Janet MAJOR, Hans ROEHRIG, Elizabeth KRUPINSKI 111-116
Key words : Telemedicine, Teledermatology, Color quality assurance, CRT calibration
Abstract : Telemedicine is experiencing significant growth in the U.S. and around the world, with a strong focus on improving the delivery of healthcare to remote rural areas. The Arizona Telemedicine Program has operated a statewide program since 1996, which provides multi-specialty care and educational content. Three of the most active specialties are image based: radiology, dermatology and pathology. Teleradiology is well established in the U.S. and well integrated into standard department practice. Teledermatology offers similar characteristics and fits well into the paradigm of remote practice, but introduces the additional factor of color fidelity. Color provides significant information for the dermatologist. It is critical that the color in a dermatology image captured at a remote site is reproduced faithfully at the consulting site. However, in many telemedicine applications the remote rural sites present significant challenges of lack of high-speed communications infrastructure, reliability of power and availability of skilled technical personnel. In this type of setting it is useful to establish practical methods for quality assurance that are inexpensive and do not rely on complex technology. The Arizona Telemedicine Program employs these practical methods in two programs involving very rural sites and has found them to be effective and appropriate for remote sites with limited resources.

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医療におけるカラー画像の重要性−医学の立場から− 西堀 眞弘 117-122
Key words : Medical color imaging, Multispectral imaging, Color reproduction, Diagnostic accuracy, Morphological diagnosis
Abstract : カラー画像に基づく形態学的診断は医療に重要な役割を果たしている.それらの色の再現性と診断精度の関係は,用途により一様ではないが,特定の条件では不十分な色再現が誤診を招く恐れがある.それにもかかわらず,医療現場での十分な検証がなされないまま,急速にデジタルカラー画像が普及しつつある.診断に耐える色再現の確保には,測色的再現色のキャリブレーション技術が利用できるが,十分とはいえない.マルチスペクトルイメージング技術を用いれば根本的解決が期待されるが,その実用化までの間は,診断等価性の確保に努めるべきである.色再現の問題について,もっとも誤診を恐れるはずの医療現場から不安の声があまり聞かれないのは,多くの医療従事者が「錐体細胞が3種類なら3原色による色再現で十分」などと思い込んでいるためである.したがって本来のニーズを顕在化させるには,色についての正しい認識を広めることが不可欠である.

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実時間分光画像処理による肌の色素成分分布変化の測定 中尾 大輔・津村 徳道・三宅洋一 123-133
Key words : Real-time image processing, Oxygen saturation, Skin pigmentation, Principal component analysis, Real-time
Abstract : リアルタイムで肌の色を定量的に測定することは肌色の正確な再現,さまざまな負荷に対する肌の応答特性など医学的に非常に有用な情報をもたらす.本研究ではディジタルビデオカメラを用い,実時間でメラニン濃度,ヘモグロビン濃度,酸素飽和度の肌の色素成分値を推定し,その2次元空間分布を表示する.変換にはあらかじめ計算済みの3つの参照テーブルを用い,機器依存の処理と非依存の処理を分割して実装することで全体的に機器依存性を軽減し,移植性を高めている.止血時における色素成分分布変化や,無酸素運動下における酸素飽和度の変化などを測定し,本システムの有用性を示すとともに,静止画では捉えることのできない人間の負荷に対する反応を測定することができた.

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ファジー推論ニューラネットワークを用いた尿沈渣画像から異常成分の認識 曾 寧峰・渡辺 貞一・谷口 慶治・仲野 豊 134-145
Key words : Pattern recognition, Fuzzy representation, Neuro-fuzzy technique, Abnormal sub-stance, Urinary sediment images
Abstract : 尿沈渣画像中の異常成分の認識方法について述べている.尿沈渣の成分の正確な分析は腎臓病と尿路疾病の診断に重要である.尿沈渣成分の中に,撮影方向の関係からパターンに異常あるいはサイズと形状に異常なものがある.今迄は,尿沈渣画像からこの成分の認識は困難であった.ここではファジー理論とファジー推論ニューラネットワークを利用して,尿沈渣画像中の異常成分を認識する方法を提案した.ここで使用したファジー推論ニューラネットワークはファジー推論とニューラルネットワークの両方の利点をもっている.ここでは白血球を例にとって認識を行っている.まず,サンプル画像から特徴量の分布を求め,その分布を利用してファジーメンバシップ関数の初期パラメタを見積る.次に,サンプルデータを利用して,構成したファジー推論ニューラネットワークを訓練して,ニューラネットワークのファジーメンバシップ関数のパラメタを求める.最後に,このパラメタを利用して,実際の画像からデータを認識する.本方式の認識率は90%以上であった.また,認識の数を増加する場合,単純なファジー推論に比べて認識の精度が向上する.

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PACSにおける画像の保管期間と利用頻度 中川 恒明・丹羽 和夫・大橋 勇・渋谷 均 146-150
Key words : PACS, Hierarchical storage management, Digital tape archive, Archiving period of medical images
Abstract : PACSにおいて画像の適切な保管期間は明確になっていない.そこで,今回われわれの施設における画像の保管期間と利用頻度の関係を検討した.その結果,画像保管期間が長いほど利用頻度が低下することと,それらの間に負の対数相関が認められることを見出した.われわれの施設では保管期間7カ月ごとに画像の利用頻度は半減するという結果が得られた.PACSにおける保管期間の設定に当たっては,この利用頻度の特性も合わせて考慮すべきであると考える.






5月号(Vol.20, No.3)

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MRI装置による脳機能,代謝評価について 原田 雅史・久岡 園花・竹内 麻由美・西谷 弘 156-161
Key words : fMRI,MRスペクトロスコピー,BOLD法,血流,代謝
Abstract : MRI装置を用いた脳機能と代謝評価の技術について紹介し,その可能性や問題点についても検討した.Functional MRIとしてはいわゆるBOLD(Blood Oxygen Level Dependent)法がよく用いられており,統計学的検討もいくつかの異なった種類の方法が提案されている.古典的な方法はSPMで使われているt-testであり,もっとも汎用されているが,その他non-parametric analyasisやcross-correlation法もあり,さらに既知情報や仮定を必要としないindependent component analysisやneural network analysisなどの方法もすでに報告されている.今後目的や賦活の種類に応じた統計学的手法の使い分けが検討されると考えられる.MRIを用いた機能代謝測定はさらに向上し洗練されて,臨床診断と脳科学の両面に有用であると期待される.

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光トポグラフィーによる高次脳機能の計測 渡辺 英寿 162-167
Key words : 近赤外線,非侵襲脳機能マッピング,言語優位半球,てんかん
Abstract : 近赤外線マッピング法(NIRS)は近赤外線を頭蓋外から照射して,脳表のヘモグロビンの変化を計測するものである.神経活動が起こると局所の脳の血液量は増加するので,ヘモグロビンの増加はその部分の神経活動の増加を表すことになる.現在24チャンネルのマッピングシステムを用いて,言語活動や手の運動,てんかん発作などのときに活動する部位を計測できることが確認されている.空間分解能が20mmとやや悪く脳の表面の活動しか計測できないが,時間分解能は200msec程度と速く,計測中もある程度の動きを許容できたり,自然な姿勢で計測できたり自由度が高い点が特徴である.言語優位半球を非侵襲的に計測するなど,臨床的にも実用されている.今後,神経生理学,神経心理学的な研究面でもさまざまな局面における脳の機能地図を研究する上で有用な手法と考えられる.

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脳磁図イメージング―その特徴と問題点― 伊良皆 啓治・上野 照剛
Key words : 脳磁図,神経磁気,高次脳機能,機能イメージング
Abstract : 本稿では,非侵襲機能イメージングの1つである脳磁図イメージングに関して,最近の話題やその特徴,問題点に関して述べる.脳磁図は,非常に微弱な磁気を計測するため,SQUID磁束計や高性能磁気シールドルームなど特別なシステムを必要とするが,1ミリ秒の時間分解能を持ち,同じ非侵襲計測法であるfMRIにない特徴を有している.この時間分解能の良さを生かして高次脳機能に関する計測が多く行われているが,ここでは,心的回転課題における脳磁図測定を紹介する.活動部位を推定した結果,潜時200 ms前後において,右後側頭部,あるいは左後側頭部に,心的回転課題に伴う脳内情報処理の早期過程を反映していると考えられる活動が見られた.また,脳磁図計測の特徴を示すため,電気刺激による体性感覚誘発反応脳磁図を計測し,同じ刺激によるfMRIの結果とし両者の特徴を比較した.

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ポジトロンCTを用いた機能イメージングの臨床応用 飯田 秀博 174-183
Key words : 機能画像,局所心筋血流量,15O-水,血管反応性
Abstract : PET装置は,本来の最大の特長である感度の高さゆえに,きわめてユニークなトレーサ追跡が可能であり,癌検査だけでなく多くの臨床応用領域が開拓されつつある.PET装置の空間分解能は検出器開発の成果により着実に上昇しさらに今後も改善されることが期待される.血流や種々の基質代謝だけでなく,受容体の結合能など,分子レベルの機能イメージングに展開されつつある.

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放射光・単色X線イメージング 武田 徹・板井 悠二 184-193
Key words : 放射光,元素分析,血管イメージング,蛍光X線CT,位相型X線イメージング
Abstract : 高感度な生体のX線画像を得るため,蛍光X線や位相X線をとらえる新しい画像化技術を開発している.蛍光X線CTでは,特定元素の分布を計測点でppmオーダーで捉えることが可能である.一方,干渉計を用いた位相X線像では,生体を構成する軟部組織成分に対する感度が非常に高いため,生理食塩水で血管の画像化を行ったり,癌組織を無造影で弁別することが可能である.

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胸部X線CT画像におけるすりガラス状陰影検出のための肺がん陰影検出手法の改良 滝沢 穂高・五十嵐 亮・奥村 俊昭・山本 眞司・中川 徹・松本 徹・舘野 之男・飯沼 武・松本 満臣 194-202
Key words : 胸部X線CT画像,肺がん,すりガラス状陰影,自動検出,識別関数
Abstract : 本論文では胸部X線CT画像から早期がんであるすりガラス状陰影を自動検出する手法を述べる.可変N-Quoit 処理で検出されたすりガラス状陰影を含む病巣侯補をあらかじめ大きさ,肺野内での位置により分類する.その上で,正常系クラスタを組織の種類別に細分化し,病巣侯補陰影の特徴量を用いた識別処理により病巣陰影か正常陰影かの判別を行う.この手法を実症例に適用した結果,False Negative数,False Positive 数ともに従来より減少させることができた.

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乳房X線像における粗大石灰化像の抽出法と偽微小石灰化クラスタ削減への応用 水澤 信忠・萩原 義裕・清水 昭伸・小畑 秀文・武尾 英哉・縄野 繁 203-211
Key words : CAD システム, マンモグラム, 微小石灰化, 粗大石灰化
Abstract : マンモグラム上のクラスタ化した微小石灰化像は,初期がんを示す有力なシグナルとして乳がんの診断にはきわめて重要である.一方,粗大石灰化像は乳がんの存在を示唆しない良性陰影であるが,その濃度分布の凸部の一部が誤って微小石灰化像として抽出されるという問題があった.本論文ではマンモグラム上の粗大石灰化像抽出法と,それによる偽微小石灰化クラスタの削減法を提案する.提案法は粗抽出と精密抽出の二段階の処理からなり,粗大石灰化像を効率よくかつ精密に抽出することが可能である.本手法の性能を評価するために60枚の乳房X線像に適用したところ,微小石灰化クラスタを削除せずに粗大石灰化像による偽クラスタを17領域中14領域削除することができ,その有効性が示された.

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フレネル変換信号の帯域分割効果を用いたMR画像の反復的SNR改善法 伊藤 聡志・鈴木 藤孝・山田 芳文 212-216
Key words : S/N比, MR画像, フレネル変換, ウィナーフィルタ, 多重解像度解析
Abstract : われわれは,前出の論文でフレネル変換式の複式解法を利用して画像の縮小スケーリングを行った空間では,画像をフレネル変換した信号の帯域幅毎の映像を再生する多重解像度像が得られることを明らかにし,そして,この空間でウィナーフィルタリングを実施するとMR画像に含まれる雑音を効果的に除去できることを示した.本研究では,多重解像度像のスケールを決定するパラメータによって画像上の雑音処理が異なる点に注目し,反復処理の各ステップにおいて,画像のスケールパラメータに異なる値を与え,雑音処理画像からウィナーフィルタを作成することにより,ウィナーフィルタによる雑音除去特性を改善する方法の検討を行った.シミュレーションの結果,反復処理により画質が改善されることを確認した.また,局所フィルタ法やウェーブレットを使用した反復法と比較を行った結果,提案法がもっとも大きな画質改善効果を示した.






9月号(Vol.20, No.5)

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画像認知と画像診断プロセス:X線画像診断の実際(胸部X線診断) 池添 潤平 535-539
Key words : 画像認知,画像診断,胸部写真,臨床情報
Abstract : 画像診断医の画像認知と画像診断のプロセスを出来るだけわかりやすく,医用画像工学者の方たちに理解していただくために,実際の症例を使いながら解説した.われわれの行っている画像診断プロセスは,1)患者の臨床情報の取得,2)検査の目的と検査方法,3)所見の抽出(異常影の認識),4)画像からの診断,鑑別診断,5)臨床情報を加味した最終診断,6)次に行うべき検査,7)治療に関するコメントという順に行われている.このなかで,もっとも重要なのは,もちろん3)所見の抽出(異常影の認識)であり,このためには,正常の画像解剖を十分に理解しておく必要がある.胸部単純写真の場合は,正常構造の輪郭の変化と肺野の濃度変化を重要なkeyとして,異常影の抽出を行っている.

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X線CTの発展における医用画像工学への期待 片田 和廣 540-544
Key words : コンピュータ断層撮影,マルチスライスCT,等方性ボクセル,コンピュータ支援診断
Abstract : 学際領域としての医用画像工学には,工学的知識・医学的知識の両者が要求される.工学者にとっては真のニーズを理解し,アイデアおよびデータの提供と結果の検証を得るために,医学者との共同作業が欠かせない.CT領域については,マルチスライスCTの導入とともに多くの研究課題が生じている.主な課題として,画像再構成アルゴリズムの改良と評価,大容量データのハンドリング,等方性ボリュームデータにおけるノイズ低減,多臓器同時CAD,面検出器CTの応用などがあげられる.これら問題の解決には,工学者,医学者双方にメリットのある共同研究が望まれる.

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MRI 深津 博 545-550
Key words : 磁気共鳴画像,DICOMビューワー,フィルムレス,レポートシステム
Abstract : MRIはX線被曝がないため"患者にやさしい"医用画像機器であると同時に,組織間のコントラスト分解能に本質的に優れ病変を早期から容易に発見できることや,さまざまな機能を画像化することが可能であることなど,21世紀の画像診断の主流となる重要なモダリティーである.これらの特長を生かしより多くの患者がその恩恵を受けられるようにメーカー各社や研究機関が努力を重ね,検査の高速化,効率化,特異化,最適化が計られていた.その結果として一般医家が診療の片手間に画像を読影して,機器本来の能力を生かした診断を行うことは次第に困難な状況となっている.また,さまざまな異なる情報を有する画像データが毎日大量に発生するため,その読影の作業量は膨大となっている.また検査目的と患者の病歴や現症を把握して,主治医の要請に応えたレポートの作成が求められること,写真の紛失や混入が発生ししばしば作業の中断を余儀なくされること,前回検査や他のモダリティー画像との比較読影などをアナログ的に行う環境はなかなか構築し難いことなど,過去約50年間にわたり培ってきた画像診断のパラダイムが根底から揺らいでいるのが現状である.本稿では上記の状況を踏まえ,現代のコンピュータ,ネットワークの進歩を生かすためにはどのようなシステムを構築すればよいかを,現場の一読影医として日常診療内で実感していることがらを主体に述べる.

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Interventional Radiology: 3次元画像と放射線防護 石口 恒男 551-555
Key words : 大動脈瘤,ステントグラフト,マルチスライスCT,放射線防護,デジタル画像
Abstract : 低侵襲的な治療であるinterventional radiology(IVR)は多くの疾患に応用されている.IVRには正確な画像診断が不可欠である.大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術などの血管系IVRには,マルチスライスCTによる3次元画像が重要で,計測における精度向上と治療シミュレーションへの応用などによって,治療の成功率および長期成績の向上が期待される.多くのIVR手技はX線透視のモニター下に行われる.複雑な手技では,長時間の透視と頻回の撮影によって被ばく量が増加し,患者の皮膚に潰瘍などの放射線皮膚障害が発生した事例も報告されている.低被ばくのIVR装置の開発のため,デジタルX線システムの受光系の感度向上とともに,画像処理技術および表示方法の改善が望まれる.

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PET/SPECT 伊藤 健吾 556-561
Key words : PET,SPECT,半導体検出器,融合画像,画像統計解析
Abstract : PET/SPECTについて画像診断医からみた医用画像工学への期待を述べた.PET,SPECTともにこれまで以上の高分解能,高感度を達成するため半導体検出器など検出器関連の新技術に関する期待は高い.高分解能,高感度を達成することで機能画像としての有用性が高まるだけでなく,検査時間の短縮など臨床検査機器としてもより成熟した装置となる.PET/SPECTとCT/MRIの融合画像は今後普及していくと考えられるが,診断精度を高めるだけでなく,治療への応用などで核医学画像の応用を促進すると思われ,オープンMRIとの複合装置など使いやすい装置の開発が期待される.画像解析技術に関しては画像統計解析と画像データベースの臨床利用が一般的となれば客観的で精度の高い診断がどの施設でも可能となり,臨床レベルの向上に寄与できる.

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仮想化内視鏡システムにおける未提示領域の検出機能の開発 林 雄一郎・森 健策・長谷川 純一・末永 康仁・鳥脇 純一郎 562-571
Key words : 仮想化内視鏡システム,バーチャルコロノスコピー,未提示領域,フライスルー
Abstract : 本論文では仮想化内視鏡システムを用いたフライスルー中,システムがユーザに提示した領域を記録し,フライスルー終了後,まったく提示されなかった領域を提示する手法について述べる.仮想化内視鏡システムを用いた診断では,医師は対象となる臓器内部において,計算機上に構成された仮想の人体内を視点位置・視線方向を変化させながらフライスルーし,ポリープなどの病変部の存在の有無を診断する.ここでは,病変部の見落としを防止する観点から臓器内部のすべての領域を観察することが重要である.しかしながら,複雑な形状をもつ臓器の診断においては,すべての領域を観察することなく診断を終了してしまう可能性がある.そこで本研究では,システムがユーザに一度も提示しなかった領域を特定し,フライスルー終了後にシステムが表示しなかった領域を提示することでユーザに対して病変部見落としの可能性を警告する機能を提案する.この手法を用いることで,ユーザはフライスルー中にまったく観察しなかった領域がどの程度あったかを確認することができる.ここでは,仮想化内視鏡像の描画方法として,もっとも基本的で広く用いられているサーフェスレンダリングとボリュームレンダリングの2つを取り上げ,それぞれの描画方法における未観察領域検出法を述べる.サーフェスレンダリング画像の場合は画面に一度でも表示された三角形パッチをフライスルー中に記録する.ボリュームレンダリング画像に対しては,積算不透明度を解析することで画面上に表示された画素群を特定し,それを記録する.フライスルー終了後にすでに表示された三角形パッチ群・画素群(既提示領域)から,一度も表示されなかったパッチ・画素群(未提示領域)を求めユーザに提示する.人工図形,大腸ならびに気管支の各領域に対して数種類のフライスルーパスを作成し本手法を適用することで,その有効性を確認する実験を行った.その結果,既提示・未提示領域をそれぞれ検出可能であることが知られ,これらが病変部見落としのない検査法への保証の第一段階として有効であることが示唆された.

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芯線モデルを利用した非造影3次元胸部X線CT像からの縦隔内血管領域抽出 北坂 孝幸・森 健策・長谷川 純一・鳥脇 純一郎・片田 和廣 572-583
Key words : 3次元胸部X線CT像,大動脈,肺動脈,芯線モデル,ユークリッド距離変換
Abstract : 本論文では,芯線モデルを利用した非造影3次元胸部X線CT像からの縦隔内大動脈および肺動脈領域の自動抽出について述べる.提案手法では,不鮮明な血管輪郭を直接抽出することはせず,まず血管の芯線を抽出し,得られた芯線から血管領域を復元するという手順を取る.具体的には,CT値の局所標準偏差を基にしたエッジ抽出処理を行い,得られたエッジ画素以外の画素に対してユークリッド距離変換を施して距離値画像を作成する.次に,あらかじめ作成した大動脈および肺動脈芯線モデルを距離値画像にあてはめて芯線を抽出する.得られた各芯線に対して逆ユークリッド距離変換を施して血管領域を復元して各血管領域を得る.本手法を実際の3次元胸部X線CT像7例に適用した.抽出結果と手入力した大動脈および肺動脈領域との一致度を計測したところ,大動脈領域は約90%,肺動脈領域は80〜90%程度であり,おおむね良好に縦隔内血管領域を抽出できることを確認した.これによって,非造影CT像からの縦隔内血管領域の抽出の可能性を初めて示した.

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MR拡散テンソル画像の解析による脳白質神経線維追跡:追跡の信頼性を考慮した選択的Tractography 増谷 佳孝・阿部 修・青木 茂樹・森 墾・増本 智彦・吉川 健啓・大友 邦・林 直人・椛沢 宏之 584-592
Key words : MR拡散テンソル,拡散異方性,Visualization,Tractography
Abstract : 核磁気共鳴拡散テンソルイメージングの解析に基づく脳白質神経線維追跡(Tractography)において,拡散係数の最大方向を追跡している従来の手法では,異方性の低い部分では必ずしも神経線維と一致しない問題があった.本研究では異方性によるTractographyにおける追跡の信頼性を,軌跡上において不透明度を含めた色により同時に表示する手法を開発し,健常者,胚芽腫,水頭症患者の臨床データを用いてその有用性を検証した.

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MEGとMRIデータの統合可視化システム 内田 公,遠藤 博史,武田 常広 593-598
Key words : 脳機能計測,3次元可視化,統合表示システム
Abstract : 脳磁場計測(Magnetoencephalography: MEG)は,頭の周囲の磁場を計測し,電流の発生源を推定することで,脳内の活動部位とその変化を記録する計測手法である.現在,MEGで用いられている信号源推定法には問題が多く残されており,問題点の解決方法や新しい解析手法についての研究開発が行われている.われわれは,新しい解析手法を迅速に実際の解析に取り入れ,評価することができる脳機能解析システムを開発した.このシステムは,MEGデータをさまざまな表示法で示すことができ,頭部MRI画像を併用することで,磁場および活動源の位置関係を実際の頭部画像上で確認できる.さらに,推定結果の時間変化を動画像として表示できるため,脳内の活動の様子を直感的に理解することができる.また,MRI画像より脳形状モデルを生成できるため,頭部の実形状モデルを利用した電流源推定法を迅速に取り入れることができる.






11月号(Vol.20, No.6)

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心臓血管系の血流シミュレーション 劉 浩・山口 隆美・姫野 龍太郎 615-621
Key words : 予測医学,心臓血管系,医用画像,血行力学,計算生体力学
Abstract : 心臓血管系の血流シミュレーションは,臨床応用を目的とする予測医学のための有用なツールとして重要視されつつある.予測医学とは,超音波やMR(核磁気共鳴)やX線CTなどの医用画像を利用して,計算機上に生体の構造と機能について,厳密な力学モデルをつくりあげ,大規模な方程式を解き,疾病や障害の過程を目に見える形で捕らえ,シミュレーションによる血管疾患の診断と外科手術計画および手術後予測を実行することができるようなものである.このような斬新なパラダイムを実現させるために,患者個別血管系の解剖学的かつ生理学的情報に基づいた総合的計算力学的システムは必要不可欠である.本文では理化学研究所で開発中の心臓血管系の血流シミュレータといくつかの具体例を紹介する.

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脳動脈瘤と血流シミュレーション 深作 和明・根来 真 622-630
Key words : 脳動脈瘤,計算機流体力学,クモ膜下出血,塞栓術,治療適応
Abstract : 脳動脈瘤は未だに予後のよくないクモ膜下出血の主要な原因である.しかしながら未破裂動脈瘤はありふれた疾患で,同時に破裂するか否かの自然経過が判明していない.破裂には,内圧と同時に流れに起因するさまざまな血管作動性物質の関与が考えられる.診断機器から血管および動脈瘤の三次元構造を取り出して,計算機流体力学(CFD)的な手法を用いて解析することも可能となってきている.CFD は個々の動脈瘤の予後判定に重要な情報をもたらすと考えている.

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理化学研究所における眼球の力学シミュレーション研究 横田 秀夫・牧野内 昭武・孫 智剛・矢部 比呂夫 631-638
Key words : 眼球,網膜剥離,有限要素解析,非線形大変形,生体,力学シミュレーション
Abstract : われわれは眼球を対象とした力学シミュレーションモデルの構築を目的として軟組織のシミュレーションシステムの構築を行っている.眼球の有限要素解析のために,眼球の形状情報の収集法,眼球を構成する組織を判別するフルカラーのセグメンテーション法,眼球の力学特性の収集法,有限要素解析のためのメッシュ作成法,非線形大変形する眼球を再現するための超弾性3次元解析プログラム,そして構築したモデルの検証法を開発している.現在,それぞれのテーマを同時並行して開発を進めており,来年度には網膜剥離に対する輪状締結手術を再現するシミュレータを完成させる予定である.

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各種眼科疾患におけるシミュレーション 矢部 比呂夫・川口 龍平・孫 智剛・横田 秀夫・牧野内 昭武 639-646
Key words : 眼球,シミュレーション,三次元画象,眼窩骨折,鈍的眼外傷,網膜剥離,緑内障
Abstract : 眼球に発生する各種の疾患の発生原因や手術的治療は力学的法則にしたがっているものが少なくない.われわれは単純化した眼球シミュレーションモデルを作成して各種の眼科疾患への臨床応用を模索してきた.実際の臨床でおこる所見とシミュレーションの結果を対比すると生体の事象にかなり近似していることがわかった.近い将来,より精緻なヒト眼球シミュレーションモデルを構築し,各個人ごとの情報を反映したモデルができたならば実際の臨床において疾患の原因や障害の過程を視覚的に追跡でき,あたらしい治療手段の開発,手術方法の適応の可否などが患者の精神的,肉体的な負担をかけることなくコンピュータ上で計算することができると考えられる.本稿ではこれまでわれわれが行ってきた各種の眼科疾患に対するシミュレーションとその問題点について考察した.

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イメージベーストモデルを用いた骨梁構造適応の三次元リモデリングシミュレーション 坪田 健一・安達 泰治・冨田 佳宏・牧野内 昭武 647-653
Key words : 計算バイオメカニクス,骨リモデリング,適応,海綿骨,イメージベーストモデル
Abstract : 生体骨の構造は,微視的な力学刺激に応じたリモデリングにより,外荷重環境に応じて機能的に適応変化する.そのメカニズムを理解する際には,骨の詳細な形状モデリングと,それを用いた計算力学シミュレーションが有効な手段の1つとなる.さらに,メカニズムの検討を通じて確立されたシミュレーション手法は,医学および工学の領域において,有用なツールとなることが広く期待される.その1例として,本報では,海綿骨の構造要素である骨梁の適応変化について,イメージベーストモデルを用いた三次元リモデリングシミュレーションを示す.本シミュレーションは,医用画像データに直接適用可能であり,患者の個体差に応じた骨梁リモデリング現象の予測において,有効な手段になると考えられる.さらに,骨に装着するインプラントについて,計算機シミュレーションステムを基礎とした新しい形状設計手法を提供する際に,重要な役割を果たすものと期待される.

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気管から肺胞に至る気道内流れとガス輸送 世良 俊博・谷下 一夫 654-659
Key words : 気管・気管支,細気管支,肺胞
Abstract : 呼吸器に関する研究は,ガス交換メカニズムや環境問題,治療方法の開発などの観点から数10年にわたり医学だけでなく工学や化学などさまざまな側面から研究が行われてきた.気道は解剖学的には無数の管が3次元的に繋がった分岐管ネットワークと考えることができ,その複雑な形状が気道内の力学現象に大きな影響を与えている.近年の呼吸力学における研究テーマは,生物流体の観点から,大きく分けて"上気道内の流れ"や"気道内流れ","粒子の沈着現象","気道壁の安定性","呼吸音","人工サーファクタント輸送"などがある.本稿ではとくに,気道を解剖学的側面からA) 気管・気管支とB) 細気管支,C) 肺胞周辺の3個所に分類し,"気道内の流れとガス輸送"について報告する.

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3次元内部構造顕微鏡による生体の侵襲的イメージング 横田 秀夫・中村 佐紀子・川口 龍平・牧野内 昭武・矢部 比呂夫・樋口 俊郎 660-665
Key words : 断面画像,立体画像,フルカラー,生体試料
Abstract : 生体試料を対象とした3次元構造の観察の要求が高まっている.この観察法にはX線CT,MRIをはじめとする非破壊の観察法が主流であるが,破壊検査による観察法は,非破壊観察にはない高い分解能と検出能の特徴がある.本稿では,生体の3次元構造を侵襲的に観察する3次元内部構造顕微鏡について述べる.

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MRIの多機能性−形状から弾性率まで− 加藤 陽子・姫野 龍太郎 666-670
Key words : MRI,緩和時間,形状,流速,弾性率
Abstract : MRIは,非侵襲的という部分が強調されることが多い.しかし,得られる情報の多様性も特筆すべき特徴であるといえる.また,その信号値が定式化されていることから,定量的に評価するのに有利である.生体力学シミュレーションを行う際に必要となるパラメータを得るために使用するシーケンスについて紹介する.

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癌検診におけるコンピュータ支援診断(CAD)の役割 飯沼 武・松本 徹 671-675
Key words : CAD,癌検診,マンモグラフィ,LSCT,2重読影
Abstract : CADは癌検診における2重読影の片割れとしての役割を期待されている.日本の癌検診では乳癌がマンモグラフィ,肺癌ではラセンCTをスクリーニング検査とする方式が研究されている.そこではCADシステムが1人の医師の役割を代行し,最終的には1人の医師が全例を判断して要精検か,精検不要かを決定することが望まれる.そのためにはCAD自体の正診率を高めることは勿論であるが,その正診率,とくに感度と特異度がある水準に達したならば,CAD+医師システムの読影実験を実施することが必要である.これは可能ならば実際の検診症例を用いた前向きの実験とし,これを医師2人の2重読影と比較することが必要である.これは医学と工学の困難な共同作業であり,工学側と医学側の指導者が実験計画について十分に時間をかけて打ち合わせを行ってから実行しないと成功しない.CADの本当の意味での実用化には大変な努力が必要である.

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可動表示装置を用いた直感的指示による横隔膜運動の観察システムに関する研究 柳原 圭雄・濱 裕光・小水 満 676-684
Key words : 横隔膜運動,3次元磁気センサー,直感的制御,観察システム
Abstract : 横隔膜の動きの観察は肺疾患の診断に有用であり,とくに局所的な動きが重要である.それには任意の方向から容易に観察できる仕組みが要求される.今回,液晶ディスプレイを傾けるあるいは平行に移動する操作で直感的に方向を指示することにより,観察したい方向からの立体画像を時系列で表示するシステムを開発した.ディスプレイに表示する立体画像は複数のMRI断層像を井桁上に組み合わせて構成した.その際,断層像から主たる観察対象領域(横隔膜と胸郭)を抽出する方法を開発した.断層像からの対象領域の抽出結果は,目視による方法と比べて領域面積の差が平均で約-0.9%とほぼ同じであった.液晶ディスプレイの操作による画像更新時間は最大でおよそ32.8msであり,実時間で直感的に観察したい方向の画像を表示できることが示された.

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楕円モデルによる大局処理と局所処理を併用した腎臓糸球体領域の抽出 平井 惠子・渡辺 貞一・谷口 慶治・仲野 豊・朱 虹 685-693
Key words : 腎臓糸球体領域,ボウマン嚢,境界領域の推定,領域分割のモデル
Abstract : この論文ではモデルによる大局処理と局所処理を併用して,腎臓組織画像から糸球体領域を抽出する方法を述べている.ここで扱う腎臓組織画像は,スライスされ,染色された腎臓組織の1つの切片を,顕微鏡付きのCCDカメラで撮影したものである.主要な処理過程は次のとおりである.まず,撮影した画像を局所的なしきい値処理により2値化する.次に,ボウマン嚢の内部にあるボウマン腔を境界領域として抽出する.この過程で抽出された境界領域が糸球体を取り囲む形として閉じていないならば,楕円モデルと腎臓組織画像の濃度情報を利用して不明確な境界領域の推定と修正を反復的に行う.最後に,検出された境界領域から近似楕円を求め,境界領域と近似楕円で囲まれる領域を糸球体領域として抽出する.本手法の有効性を示すための実験結果より,この方法は従来の方法に比べ腎臓組織画像の糸球体の領域分割に有効であることが明らかとなった.

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時系列2次元X線画像を用いた肋骨の3次元形状復元と呼吸運動の解析に関する研究 ミンミンセイン・小水 満・柳原 圭雄・濱 裕光 694-702
Key words : 形状復元,運動解析,べサプライ制御点,因子分解法,X線画像
Abstract : 呼吸生理において重要な分野の1つである胸壁の運動解析について新しい手法を提案する.現在,多くの研究者たちが自動運動解析装置やCT画像やテレビカメラと光学式マーカなどを利用してさまざまな肋骨の呼吸による3次元運動について研究している.本研究では3次元CT画像を用いず,異なる呼吸相での2次元X線画像から各肋骨の形状復元と3次元運動の解析手法を提案する.まず,肋骨を曲線で表現し,X線画像から曲線を抽出して各曲線のB-spline制御点の発見を行う.制御点を扱うことにより,曲線の全点を扱う場合に比べデータ量と計算時間が減少し,各曲線の対応精度が改善されるというメリットがある.次に,因子分解法に基づいて,曲線の2次元対応制御点の行列から3次元制御点と運動を計算する.X線画像から胸壁の運動解析を行う利点は,2次元のX線画像にもかかわらずCT画像と同等の解析を行うことができることである.実験結果より提案手法の有効性を確認した.